令和8年2月1日、仙台奥羽ロータリークラブ2月臨時例会が開催されました。

選択権はどこにあるのか?-小売りと食料をつなぐ一つの問い-
発表者:
ファシリテーター:
・ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 森田将仁氏
・旭化成ファーマ株式会社 古西尚幸氏
・医療法人総志会 宗像靖彦
要約
小売の購買体験と日本の食料自給率を「選択権」と「責任」の共通構造で接続し、ネット量販店と対面専門店の価値差、アルゴリズムへの委ねと主体性回復の利点・リスク、選択がもたらす心理的ストレスやコストのトレードオフを多角的に討議。衣料では「選ばされている」感覚、食では「体に入るもの」として主体的に選ぶ傾向が示される一方、飼料・見えない水・環境負荷により「食でも実は選べていない」構造的現実が提示された。参加者はカテゴリー別に主体性を使い分け、初回の店・基準づくりで後続の選択ストレスを減らす設計や委ねることのメリット/デメリットを検討。
イントロダクション
・モデレーション方針: 小売と食料自給率を「選択権・責任・利便性・リスク」の共通構造で統合し、結論ではなく内省と視点整理を重視。選択のストレスと責任、委ねることの利点・欠点を問いかける進行。
・小売の対比(森田担当): ネット量販店は利便性・価格・品揃え・効率を提供するが、選択肢はアルゴリズムで事前設計され主体性が外注されがち。対面小規模専門店は対話・専門性・物語・信頼により選択肢を共創し主体性を回復しうるが、価格や責任負担が増す。
・衣料と食の差: 服はSNSや他者評価の影響で「選ばされている」感覚。食は鮮度・専門店重視で主体的に選ぶ傾向。
・食料自給率(小西担当): カロリーベース38%、生産額ベース64%のギャップ。飼料自給率26%で輸入依存、見えない水の輸入、CO2・森林破壊・フードロス(年間約500〜600万トン)の負荷。実質自給率は15〜20%の可能性。
・参加者の視点: 飼料の出どころ・ホルモン剤リスクへの関心、水は循環資源で産地へのこだわりに懐疑。選択の影響範囲を意識するとストレスが増し、アルゴリズムへの委ねを容認する側面も指摘。
重要ポイント(Keys_point)
・小売と食料自給率は「生きるための選択権を誰に委ねるか/どこまで自分で引き受けるか」という同構造。
・ネット量販店は効率・安さに優れるが、アルゴリズム設計により主体性が希薄化しやすい。対面専門店は対話で主体性回復と信頼を得るが、価格・責任のコストが増す。
・消費行動は「装置型の効率」と「意味のある買い物」の二軸で再定義でき、主権の所在と責任の度合いが分岐。
・食の選択はサプライチェーンの奥行き(飼料・水・環境負荷)まで見ないと「選べていない」場合が多い。国産表示でも飼料輸入依存で純国産と言い切れない。
・実務上の購買はアルゴリズムへの外注と自分の嗜好固定の併用が一般的で、商品カテゴリーごとに主体性の度合いが異なる(水は銘柄固定、紙類はコスパで委ねる等)。
・選択行為は心理的ストレスを伴い、初回の店・ブランド選択や基準づくりで後続の選択ストレスを軽減可能。コスト(価格・廃棄・情報収集)と価値(安心・自律性)のトレードオフが継続可能性を左右。
・委ねることは短期的に楽だが、長期的には自律性低下やミスマッチのリスク。関心が高い領域では失敗を許容し学習につながる。
洞察(Insights)
・モデレーター: 異分野テーマでも「選択権」の視点で構造的共通性が見える。選択のストレスと責任の受容度が生活設計の核心。
・森田: 嗜好の外注と専門性による主体性回復の両輪を提示。「装置型の効率」か「意味のある買い物」かで主権と責任が変わる。
・参加者: 衣料は他者・アルゴリズム依存で自由度が低いと感じる一方、食は主体的選択。品目ごとに主体性が揺れる。
・小西: 指標のギャップ、飼料・見えない水・環境負荷により「食でも選べていない」現実を可視化。フードロス削減の新動向に言及。
・参加者: 対面ではおすすめに流れ主体性が弱く、ネットでは選択の幅が広がり主体性を感じる。量販店では「なんとなく買う」傾向で責任を委ねる自己認識。輸入の方が安心な可能性や、アルゴリズム依存をストレス回避として容認する視点。
・実務設計: 初回に広く比較・体験して基準を確立すれば、以降の選択はルール化されストレスが減る。意図的な冒険で選択の幅を広げる意義。
章立て(Chapter)
1. 選択の主体性と自由度の現状把握
・参加者: 服はインフルエンサーや家族評価で「選ばされている」感覚。食は鮮度・専門店重視で主体的に選ぶ。自由に選んでいるつもりでも外部設計に組み込まれる可能性を認識。
・森田: ネット量販店と対面専門店の価値・体験を対比し、主権の委ね/回復と責任負担の関係を提示。
2. カテゴリー別の主体性の使い分け
参加者: 水は硬水/軟水の好みで銘柄固定し自分で選ぶ。紙類などはコスパ重視でアルゴリズムに委ねがち。量販店では「なんとなく買う」実感が強い。
3. 食料自給率の構造的課題の可視化
・小西: 生産額64%/カロリー38%のギャップ、飼料自給率26%、見えない水の輸入、CO2・森林破壊・フードロス。国産肉・卵でも純国産と言えない構造。実質自給率は15〜20%の可能性。
4. サプライチェーンの奥行きを踏まえた選択
・参加者: 飼料の出どころやホルモン剤リスクへの注意。水は循環資源で産地こだわりに疑義。消費者は奥行きまで見ないと「選べていない」現実を共有。
5. 選択ストレスと委ねの設計
・参加者: 初回の店・ブランド選択で二次以降の選択ストレスを軽減。広く比較・体験して基準を作れば以降はストレス減少。アルゴリズムに委ねることのメリット(気楽さ)とデメリット(自律性低下)を整理。関心の高い領域では失敗を許容して学習する姿勢。
6. 今後の進行と予告
・方針: 深掘り会では結論より視点・感性の整理を重視し、実務的まとめからの脱却を促す。
・次回: 「水×ミニマリスト」を歴史背景も交えて議論予定。
「異と和」企画の今後の予定
・3月のテーマ
「水とゴミから考える、選択の正体」― 必然と手放しの構造 ―